Quest 2の発売から早3年が経過し、様々なアップデートを遂げたQuest 3!
果たしてどのような使い勝手なのか、今回はQuest 3を実際に触ってみた所感と実際にVRChatで使用してみての感想などをお伝えしていきます!
Quest 3をひとことで言うなら?
Quest 2を順当進化させたモデルです。
詳しい性能についてはこれからご紹介していきますが、画質、解像度、本体の軽量化、音質、レンズの進化などの基本的な部分の進化はもちろんのこと、カラーパススルー機能やMRアプリの導入など、これまでのモデルとは全く違う新しいビジョンを持つVRヘッドセットに仕上がっています!
それでありながらも、価格については近年高騰しているVRヘッドセットの中ではかなり良心的となっていて、128GBが『74,800円』からとなっているのも魅力的です!
外観や付属品のチェック!
まずはパッケージ周りや同梱されているアクセサリーなどを見てみましょう。
パッケージはQuest 2に比べてかなりコンパクトになっていて、約50%ほどスリムになりました。
パッケージ内にはヘッドセット本体、コントローラー、ケーブル類などの付属品が綺麗に収納されています。
同梱されている付属品は「新型コントローラー、充電用のUSBアダプター、タイプCケーブル、スタートアップガイド」となっています。
Quest 2の頃にあったメガネスペーサーについては、Quest 3ではフェイスクッションの台座部分に踏襲されたことで今回からは同梱されていません。
ヘッドセットの正面には大きく目立つカメラが3つ。
中央にはMRやパススルー時に使う「深度センサー」、左右にはフルカラーのパススルーを実現するための「デュアルRGBカメラ」が搭載されています。
底面には無段階の「IPD調整ダイヤル」とクレードル用の充電端子、反対側に「ボリュームボタン」が配置されています。
IPD調整ダイヤルは以前の3段階から無段階になったことで、より自分の目にフィットするようになりました。
本体の左側には「USB-C端子」、少し下側に「電源ボタン」が搭載されていました。
USB-C端子は単なる充電ポートだけでなく、本体との通信やUSBオーディオ等さまざまな用途に使えます。
例えば、私がよく使っている「VR P10」というワイヤレスイヤホンでは、USB-C端子に差し込んで使う無線ドングルが付いているのですが、これによりBluetoothイヤホンを使わずとも音声遅延をほぼ無くして、VRゲームに没入することが可能になりました!
ただし、リリース直後のQuest 3はまだ不安定な部分が多いようです。このイヤホンもドングル使用中に充電ケーブルを挿すと何故かイヤホンが認識しなくなるバグに遭遇しました。
追記:イヤホン側のファームウェアのアップデートで解決しました。
リリース直後はファームウェアが追いついていないケースがあるので、周辺アクセサリー関係は少し様子見してもいいかもしれませんね。
手元にあるQuest 2と本体の薄さを比較してみました。
結構ガチガチにカスタムしているので単純な比較ではありませんが、パンケーキレンズを搭載したことで不要な厚みが減り、前方への出っ張りが最小限に留められていますね!
Quest 3はQuest 2に比べて、数十グラムほど重くなっているのですが、重心が中央に寄っているためか従来に比べて重さを感じにくい設計になっているようです。
下側から見ると、レンズの位置がより浅くなっていることが分かりますね。
Quest 3ではスピーカーの配置も見直されており、ヘッドバンドの側面から耳にダイレクトに音声が届くようになっています。
これにより、ボリュームを小さくしても低音がしっかりと聞こえるようになっていて、Quest 2に比べて低い音量でも迫力のある音声を体感できるようになりました!
コントローラーについても大幅なアップデートが加えられていて、Quest 2にあった大きなリング部分が、Quest 3では無くなっています!
これにより、コントローラーを振り回した際に壁にぶつけてモニターや襖を破壊するリスクが大幅に下がり、VRChatterの周辺環境に優しくなりました。
他にも干渉する部分が少なくなったことで、手を交差させる動作も自然にできるようになっています。
リングの有無以外に大きな変更はありませんが、リングをスタンドに見立ててコントローラーを置くことができなくなっているので、置き場に困る人も一定数いそうです。
トリガーやボタン類は、Quest 2を踏襲した配置になっています。
コントローラーは単三電池一本で動きます。
カバー自体は付け根にあるボタンを押すだけで簡単に外れるようになっているので、以前のように指を痛めながら電池交換をすることはなくなりました。(地味にいい改善点!)
処理性能はQuest 2と比べて約二倍に!
「Meta Quest 3」は、「Snapdragon XR2 Gen 2」という先進のSoCを搭載することで、GPU処理能力がMeta Quest 2と比較して約2倍に向上しています。
これにより、ゲーム自体のグラフィック性能や読み込み時間の短縮。高負荷時のフレームレートの改善などが実現されるようになりました。
具体的なシーンとしては、例えばゲームやアプリの立ち上がりが若干早くなっていたり、「VROID HUB」等の3Dモデルをプレビューする際のカクツキの低減や動作が高速化されていたりと、ソフトやアプリケーションの立ち上げがかなり高速化されています。
アプリの立ち上げや映像処理の高速化はユーザビリティに直結する部分なので、Quest 3は従来のヘッドセットと比べてもストレスを感じにくいヘッドセットだと言えます!
待望のパンケーキレンズに約30%向上した解像度!
「Meta Quest 3」には、パンケーキレンズと呼ばれる薄型でスイートスポット(鮮明な視界が広がる領域)が広いレンズが採用されており、視界全体がクリアで鮮明な見え方になるように進化しました!
片目あたりの解像度は4Kを超える「2064×2208ピクセル」で、前世代のQuest 2に比べて約30%も高解像度に向上しました。視野角は水平110度と垂直96度で、最大120Hzのリフレッシュレートに対応しています。
これは約16万円の「Quest Pro」を含む全シリーズの中でも最高の解像度で、このレベルになってくるともうスクリーンドアなんて一切感じませんね。
ただ、コントラストについては、液晶ディスプレイということで真っ暗なシーンではバックライトの白浮きが目立ってしまい、全体的にやや灰色がかって見えてしまうのは現モデルにも健在のようで…。
有機ELディスプレイのような鮮やかで深みのあるコントラストを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。
一部では、液晶の裏側にLEDを複数のエリアに分けて発光させる「ローカルディミング技術」に対応していると伝えられていましたが、実際に試してみても特にそのようなことはなく、黒の表現についてはまだまだ改善の余地があるように感じました。
また、内視野角についてもQuest 3はそこまで広くないように感じます。良くてもQuest 2と同じくらいという印象で、この点についてはQuest 3よりも安価な「PICO 4」の方が内視野角が明らかに広く、近くのものが見やすいです。
白浮きは気になりますが、解像度やコントラストは文句なし!
ただ、近くのものを見る際に必要な内視野角については「PICO 4」のほうが広いので、両機種を持っている身としては結構狭く感じます。
パススルー性能について
Quest 3のパススルーカメラは、Quest 2の解像度の10倍、Quest Proの2倍の解像度を誇っており、Questシリーズで最も高解像度のカラーパススルーカメラを搭載しています。
Quest 3を初めて起動すると最初にパススルーカメラの映像が映るのですが、その鮮明さに思わず「おぉー」と唸ってしまうほどでした。
実際にパススルー機能を使って、パソコンモニターを見ながらこの記事を書いてみたところ、テキストを読みながらタイピングも出来てしまうくらいには、鮮明な映像を映し出してくれます。
ヘッドセットを着けながら文章の読み書きができます!すごい…!
ただし、いくらパススルーが優秀と言っても近くの物体は依然として歪んで見えたり、暗所ではノイズがかなり目立つため、ハイエンド帯スマホのカメラのような低ノイズを期待するとガッカリするかもしれません…。
手元のスマホの文字も一応読むことはできますが、やはり映像の歪みやノイズが気になってくるため、積極的にQuest 3を使って見ようとはならないのが正直なところです。
ただ、それを含めてもこれまでのVRヘッドセットに比べて一歩前に進んだ実用性の高いものだというのは事実ですし、ヘッドセットの側面を軽く二回叩くだけで「パススルーモード」と「VRモード」を瞬時に切り替えができるのは本当に便利でほぼノンストレスです!
ヘッドセットを着用したまま瞬時に周囲を確認したり、トイレにもヘッドセットを着けたまま行けますし、VR飲み会では側に置いてあるお酒を倒すこともなく、ダンス時には足元にある物を避けたり、DJ機材やギターなどの楽器を手にしたままVR上で演奏することも可能です。
このような実用性の高いMR体験ができるのは、Quest 3ならではの大きなメリットだと言えるでしょう!
パススルーの画質や精度はまだまだ完璧ではないけど、十分実用性のあるMR体験ができますよ…!
既にパススルーを使いこなしてVRとMRを融合させている方も!?
VRDJの多くが夢見た事が出来るようになったぞ!
VRCをしながら手元だけビデオパススルーしつつハンドトラッキングも!
やり方はツリーに下げます pic.twitter.com/d1soXwzNoK— Mazzn1987(VRC:Mazzn1987)@DJ/メタバースDJ (@Mazzn1987_TRPG) October 11, 2023
Quest 3 で Immersed 使ってブログ書いてるんだけど体験良すぎてやべえ…。
手元はカメラの映像映しつつ特大ディスプレイで作業できるのでとても快適。文字もめっちゃくっきり見えるし素晴らしすぎる。
これ別に Quest 2 でもできるんだけどとにかく綺麗になってるのが良い。 pic.twitter.com/L06BDJtPgy— nabeliwo (@nabeliwo) October 11, 2023
#quest3 の #pianovision 試してみたところ pic.twitter.com/Nq3ezpOnIL
— tatmos (@tatmos) October 11, 2023
実際にVRChatをプレイしてみての感想など
ここからは、私が実際にVRChatを3日間ほどプレイしてみての感想をお伝えします。
まず、画質についてはVirtual Desktop(以下、VD)を使用することで細かな設定が可能となっていて、安定したWi-Fi環境下では解像度を100%を活かした映像でVRChatを楽しむことができます。
画質にこだわる方は標準搭載の「AirLink」や、有線接続の「Quest Link」よりもVDを使用した方が画質を上げられるので、Wi-Fiが安定している環境下であればVDでビットレートを上げて使うのがベターですね。
映像の歪みが気になる場合は、「Synchronous Spacewarp (SSW)」をDisabiedに設定するといい感じになります。
サードパーティのアプリに抵抗感があったり、極力お金を掛けたくないのであれば有線接続の「Quest Link」や「AirLink」でも十分な画質と安定性があるので、細かい設定にこだわらないのであればこちらでも全く問題ありません。
ただし、現在の「AirLink」に関してはソフトウェアが最適化されていないのか、マイクやスピーカーが検出されないという話も報告されています。(私のQuest 3もマイクが検出されなかったので現在はVDを使用しています。)
装着感全般について見ていくと、フェイスクッションはメッシュ系の素材で作られているため、蒸れにくく汗も吸収しやすくて快適です。
一方で、ヘッドストラップは「Quest 2」よりは装着感が向上していますが、まだまだ快適とは言えず、1時間もプレイしていると締め付けによって後頭部が痛くなってきます。
可能であれば、エリートストラップやヘッドストラップの購入をオススメしたいのですが、何せ「Quest 3」は先日発売されたばかりの製品ということで、まだまだ周辺アクセサリーが揃っていません。そういった意味でもリリース直後のこの時期はジレンマとの戦いですね。
メガネについては、内蔵されたスペーサーを引き出すことで使用が可能です。
ただし、内部のスペースが結構ギリギリということもあって、ツルの部分が耳に食い込んで時間が経つにつれて痛みが出てきます。これについても公式から販売されている度付きレンズか、サードパーティ製の補正レンズを購入したほうがストレスなく遊べると思います。
アバターの挙動については、コントローラーのトラッキングが良くも悪くも「Quest 2」と同じなので、手を頭の後ろに持っていくと簡単にトラッキングが外れます。
VRCでダンスを踊る方や、イベントにもガンガン参加するヘビーユーザーであれば、コントローラーにトラッキング用のカメラが内蔵されている「Quest Proコントローラー」の購入も検討されてもいいかもしれません。
また、フルトラについても「Quest 2」と全く同じやり方で導入することが可能となっており、VIVEトラッカーを使用する方法であれば、当ブログの記事「Quest Link」時にVIVEトラッカーを使ってVRChatをフルトラでプレイする方法のやり方で導入することができます。
マイク音質については、Quest 2よりも高感度でシャープにチューニングされている印象です。
ただ、VDの現行バージョンではQuest 3に最適化されていないのか、音量を上げすぎるとマイク音声が歪んで音質が低下する現象が発生しているようです。(私の環境下でもフレンドさんから報告を受けました。)
これについては、X上で改善策について検証された方がポストしていますので、気になる方は参考にしてみるといいかもしれません。
昨晩META Quest3 をVirtual desktop使用で #VRChat を遊んだ所、声が変と
音楽勢仲間で色々試した所、Quest3のマイク感度が高い&VDが上手く対応してない事が原因の様子
私の環境では下記の様にVRCとVDのマイク出力を下げた所いつもの声に戻りました
100%100%だと不安定にコンプ掛かった声になるます pic.twitter.com/oplPSNR44i
— Mazzn1987(VRC:Mazzn1987)@DJ/メタバースDJ (@Mazzn1987_TRPG) October 11, 2023
遊んでいて気になった点
Quest 3は特に大きなデメリットと呼べるものは非常に少ないと思いますが、強いて気になったところを挙げるとするならば、バッテリー持ちが悪いところでしょうか。
VDでUltra画質の120Hz設定でVRChatをプレイした場合、約1時間30分でバッテリー残量が100%から10%になっていました。
ただ、これは結構ビットレートとリフレッシュレートを詰めた設定になっているので、もう少しフレームレートを落としたりビットレート設定を見直せば多少は良くなると思います。
ワイヤレスであれば最悪充電しながらプレイすることで問題は解消されるので、まぁ気になる人は気になるのかなといった感じです。
体感だとQuest 2の1.2倍くらいはバッテリー消費が早い印象です。
Quest 3は未来を見据えた大きな可能性を持った名機
ここまでQuest 3の詳細を見てきましたが、最後にQuest 3の購入を迷っている方にひとこと言うのであれば、『迷うくらいなら買ったほうがいい!』と言える、高いポテンシャルを秘めたVRヘッドセットだと言うことです!
高解像度になったパンケーキレンズの採用に、ヘッドセットを雑に被ってもピントが合うスイートスポットの大幅な改善。薄くて重さを感じにくくなった本体とリングが無くなって取り回しの良くなったコントローラー。
そして何よりも、実用性のある高品質なパススルー機能の実装によって、既存のVRヘッドセットのワンランク上のVR&MR体験ができるのは「Quest 3」にしかない特徴だと思います!
自分の部屋をレーザー銃でぶっ壊すあの感覚は、VRに慣れている方であってもぜひ一度体験してみてほしいです…!(これがイノベーション!?)
また、Quest 3は他のQuestアプリとの互換性もあるため、ストアに並ぶ多くの独占タイトルやメジャータイトルが引き続き利用可能なのも、これからVRを始めようと考えている方に非常にオススメしやすいデバイスに仕上がっていると感じました。
この記事を読んでQuest 3に興味を持たれた方は、ぜひ一度Xから関連するポストを見てみてください。
きっと「こんなことまで出来るんだ!」と驚くと同時に、心の奥底に置いてきた物欲をしっかりと刺激してくれることでしょう!
「迷うくらいならコレを買え!」と思わせてくれるほど、安定感のある進化を遂げているのは見事の一言です!
遂に到着しました!Meta Quest 3!